樒と榊
お墓や仏壇・葬儀・法要などでは、樒(しきみ・しきび)という濃い緑の枝葉をお供えすることがあります。
同じく枝葉をお供えする植物として、神道で使う榊(さかき)がありますが、
よく似ているため、お供えの準備をする際に迷われてしまうこともあるようです
しかし同じように見えても種類も違い、意味や使われ方も違います
樒(しきみ・しきび)は仏事に使われます。
お墓や仏壇にお供えしたり、葬儀にも使用されることがあります。
木全体に毒性を持っています。
特に実は、食べると中毒症状を起こすので扱いには注意が必要です。
また、「香の木(こうのき)」とも呼ばれ、甘くはないですが独特の強い香りを発し、
線香や抹香の原材料としても使われるようです。
仏事に毒性のあるものを使うのは良くないことですが、
昔は土葬が一般的でしたので、遺体の匂いを消し、
獣や虫を遠ざけて故人の安らかな眠りを守るため、
強い香りや毒性を持つ樒をお墓の周りに植えたり葉や枝を撒いたりしていたようです。
そして香りには、穢れを祓って場を浄化する力があると考えられています。
また樒には、水を腐りにくくする働きがあるようです。
浄土真宗はお茶やお水はお供えせずに華鋲に水を入れ樒をさして
お供えしますが、上記のような理由から
単なるお水から「清水(せいすい)」をお供えするという意味合いで
樒が使われていることがわかります。
榊(さかき)は、木へんに神と書くところからも分かる通り、神事に使われ、
神棚や祭壇・神式のお墓にお供えされます。
神事における玉串奉奠(たまぐしほうてん)という儀礼で神前に捧げる玉串は、
榊に木綿や紙の飾りをつけたものです。
神道では、葉先の尖った植物が「神様の依り代になる(神様の力が宿る)」と考えられてきたそうです。
また、四季を通じて豊かな緑の葉が茂ることから、尽きることのない神様の恩恵を表しているともいわれています
現代ではいづれも本物そっくりな造花があり、これから暑くなり
仏花のもちも悪くなる季節に活躍します。
枯れたままや、花立を空っぽにするよりは
思い切って来月の月命日までは造花に頼る。
「気は心」わずかでも気のすむようにすれば心も落ち着くという意味だそうです。
ご先祖様への感謝の気持ちを、負担に感じることなく
伝え続けていけたら、と思います。